民泊開業プロセス 第3回:届出編

住宅宿泊事業の届出 — 何を揃え、どこに、どう出すか

民泊新法は「許可」ではなく「届出」制です。ただし添付書類は多岐にわたり、一つ欠けても受理されません。書類の全体像と提出先を先に押さえれば、届出はスムーズに進みます。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出は、旅館業許可のような「審査して許可する」制度ではなく、要件を満たした届出を都道府県知事等に提出する「届出制」です。とはいえ添付書類は登記事項証明書から消防法令適合通知書、各種誓約書まで多岐にわたり、準備段階でつまずくケースが目立ちます。

結論:届出は原則として国の「民泊制度運営システム」を利用した電子申請で行います。必要書類は物件の所有形態(自己所有・分譲・賃貸)と事業者区分(個人・法人)で変わるため、まず自分のケースに必要な書類リストを確定させることが第一歩です。

本記事では必要書類の全体像、電子申請の流れ、家主不在型で必須となる管理委託の位置づけを、届出前チェックリストとして整理します。

民泊の届出は「許可」ではなく「届出」

旅館業(簡易宿所)は保健所の審査を経て許可される制度ですが、住宅宿泊事業は要件を満たした届出を提出する届出制です。届出が受理されれば事業を開始できます。ただし届出前に、物件が用途地域・管理規約・自治体条例・消防要件をクリアしている必要があり(本シリーズ第1・2回参照)、これらの適合を示す書類を添付します。届出は原則として国の民泊制度運営システムを通じた電子申請です。

届出制度の主な特徴

  • 許可制ではなく届出制(要件を満たした届出の提出)
  • 提出先は届出住宅を管轄する都道府県知事等(保健所設置市・特別区は各自治体)
  • 原則として民泊制度運営システムでの電子申請(窓口申請も可能な自治体あり)
  • 年間営業日数の上限は180日(暦年 4/1〜翌3/31)
  • 家主不在型は住宅宿泊管理業者への管理委託が必須
  • 届出後、2ヶ月ごと(年6回)の運営実績報告が継続する

主な必要書類 — 6つの柱

1

本人確認・法人確認書類

個人は身分証明書・本籍記載の住民票の写し等、法人は登記事項証明書・定款等。事業者区分により必要書類が異なります。

2

住宅の図面

各階平面図など、居室・宿泊室・帳場等の位置と面積が分かる図面。消防・安全措置の確認にも使われます。

3

消防法令適合通知書

管轄消防署が交付する適合通知書(シリーズ第1回で取得手順を解説)。多くの自治体で添付が求められます。

4

誓約書

欠格事由に該当しないこと等を誓約する書類。個人・法人・管理組合など区分ごとの様式があります。

5

住宅の使用権原を示す書類

自己所有は登記事項証明書等、賃貸は「住宅宿泊事業の用に供することの承諾書」(貸主承諾)、転貸の場合は転貸に関する承諾書。分譲マンションは管理規約で民泊が禁止されていないことの確認が前提。

6

管理委託契約に関する書類(家主不在型)

家主不在型では住宅宿泊管理業者への委託が必須で、委託先の登録番号・委託契約の内容が届出に関係します。StayJPは国土交通大臣登録 第F05636号の管理業者として受託します。

書類準備でつまずきやすいポイント

自治体や物件条件により追加書類が生じます。以下は特に事前確認が必要な項目です。正式な必要書類は必ず管轄自治体の最新案内でご確認ください。

賃貸物件の貸主承諾書

賃貸で民泊を行うには「住宅宿泊事業の用に供することの承諾書」が必要です。標準的な賃貸借契約は転貸を禁止しているため、口頭ではなく所定様式または書面での承諾が不可欠です。

承諾取得はオーナー様と貸主の間で。書面化の一般的な留意点は本シリーズ第2回も参照。

分譲マンションの規約確認

分譲マンションでは、管理規約で住宅宿泊事業が禁止されていないことが前提です。禁止規約がある物件は届出以前に対象外となります。管理組合が民泊を認識している旨の確認を求める自治体もあります。

タワーマンションを含む分譲は規約禁止が多数派 — 第2回の事前確認で先に判定。

消防法令適合通知書の取得タイミング

適合通知書は設備工事の完了後に管轄消防署へ申請して取得します。届出書類の一部となるため、届出スケジュールから逆算して消防対応を先に終わらせる必要があります。

工期と交付期間を見込んで、届出予定日から逆算して着手。

事前周知・近隣への配慮に関する書類

騒音やゴミに関する周辺住民への事前周知の報告を求める自治体があります。標識(届出番号等の掲示)の準備も届出後の義務に含まれます。

自治体ごとに様式・要否が異なるため、管轄窓口の案内を確認。

届出の6ステップ

1

前提4層のクリアを確認

用途地域・管理規約(または賃貸承諾)・自治体条例・消防要件が整っていることを確認します(シリーズ第1・2回)。

2

自治体の最新の必要書類リストを入手

管轄自治体の住宅宿泊事業ページで、物件・事業者区分に応じた添付書類を確認します。自治体独自の追加書類がある場合があります。

3

書類を準備・取得

登記事項証明書、図面、消防法令適合通知書、誓約書、使用権原書類(承諾書等)を揃えます。取得に時間がかかる書類から着手します。

4

民泊制度運営システムでアカウント作成・入力

原則として国の民泊制度運営システムで電子申請します。事業者情報・住宅情報・管理委託先(家主不在型)を入力し、書類をアップロードします。

5

届出の提出と受理

都道府県知事等へ提出。内容確認を経て受理され、届出番号が付与されます。不備があれば補正を求められます。

6

標識の掲示と運営開始

届出番号等を記した標識を掲示し、運営を開始します。以降は宿泊者名簿の作成・保存、2ヶ月ごと(年6回)の運営実績報告が継続します。

届出制度の基本数値

覚えておきたい3つの数字

届出制

住宅宿泊事業の法的性格(旅館業のような許可制ではない)

180日

年間営業日数の上限(暦年 4/1〜翌3/31でカウント)

2ヶ月ごと

運営実績報告の頻度(2・4・6・8・10・12月の15日までに直前2ヶ月分)

よくある質問

1. 民泊の届出は許可と何が違いますか?

旅館業は保健所の審査を経て許可される制度ですが、住宅宿泊事業は要件を満たした届出を提出する届出制です。ただし届出前に用途地域・規約・条例・消防の要件を満たしている必要があり、その適合を示す書類を添付します。

2. 届出はどこに、どうやって出しますか?

届出住宅を管轄する都道府県知事等(保健所設置市・特別区は各自治体)に、原則として国の民泊制度運営システムを通じた電子申請で提出します。窓口申請を受け付ける自治体もあります。

3. 必要書類はどこで確認できますか?

国の民泊制度ポータルサイト(mlit.go.jp)と、管轄自治体の住宅宿泊事業ページで確認できます。物件の所有形態や事業者区分、自治体独自の運用で必要書類が変わるため、最新の案内を必ずご確認ください。

4. 家主不在型では管理会社への委託が必須ですか?

はい。家主が同居しない家主不在型では、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律上必須です。委託先の登録番号や委託契約の内容が届出に関係します。StayJPは国土交通大臣登録 第F05636号として受託します。

5. 届出さえすれば何日でも営業できますか?

いいえ。住宅宿泊事業の年間営業日数は180日が上限です(暦年 4/1〜翌3/31)。180日を超えて通年運営したい場合は、旅館業や特区民泊など別のトラックへの切替が必要です(本テーマはシリーズ第1回・180日ルール記事を参照)。

まとめ:届出は「書類の全体像」を先に押さえれば通る

住宅宿泊事業は届出制ですが、登記事項証明書・図面・消防法令適合通知書・誓約書・使用権原書類など添付書類は多岐にわたります。前提4層のクリア→自治体の書類リスト確認→準備→民泊制度運営システムで電子申請、の順で進めれば確実です。

  • 許可制ではなく届出制 — ただし添付書類は多い
  • 提出は原則、民泊制度運営システムでの電子申請
  • 必要書類は所有形態・事業者区分・自治体で変わる
  • 家主不在型は住宅宿泊管理業者への委託が必須
  • 届出後も名簿作成・2ヶ月ごとの実績報告が継続

届出手続きは行政書士等の専門家をご紹介します。StayJPは国土交通大臣登録 第F05636号の住宅宿泊管理業者として、届出後に運営可能となった物件の運営・管理を受託し、宿泊者名簿の作成・2ヶ月ごとの運営実績報告といった法定対応も管理業務として継続します。次回は第4回:宿泊者名簿・標識・安全措置編です。

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