東京民泊の『平均稼働率』をそのまま使わない
公式の宿泊実績、OTAの予約データ、物件の販売可能泊数は分母が異なります。まず同じ定義にそろえます。
検索で見つかる東京の稼働率は、住宅宿泊事業、旅館業許可施設、掲載中リスティング、販売可能客室など対象と分母が異なることがあります。数字だけを並べても自分の物件とは比較できません。
結論:観光庁の住宅宿泊事業の集計は『人を宿泊させた日数』等を示しますが、個別物件の販売可能泊数を分母にしたOTA稼働率とは同じ指標ではありません。自分の物件は予約泊数÷販売可能泊数で計算してください。
本記事は2026年8月20日に確認した観光庁の公開項目を基準にしています。市場平均やStayJPの実績として特定の稼働率を提示せず、売上・稼働率・ADR・RevPARの結果も保証しません。
観光庁の宿泊実績は何を集計しているか
住宅宿泊事業者は届出住宅ごとに、前2か月の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別宿泊者数を定期報告します。観光庁はその報告を都道府県別等に集計して公開しています。
この公表値は需要動向を確認する一次資料ですが、各リスティングの販売可能泊数、販売停止日、部屋単位の予約泊数を同じ条件で示すものではありません。そのため、公表された宿泊日数をそのまま『東京の平均稼働率』と呼ぶことはできません。
物件別稼働率の基本式
同じ物件、同じ客室単位、同じ期間で予約泊数を販売可能泊数で割ります。オーナー利用、工事、法令・条例上販売しない日を分母へ入れるかは、比較目的に合わせて先に定義します。
住宅宿泊事業法の年間上限日数は、OTA上で実際に販売した泊数や、月次分析で使う販売可能泊数と自動的に同じにはなりません。
- 稼働率 = 予約された泊数 ÷ 販売可能泊数 × 100
- キャンセルは最終的に販売されたか、返金されたかを同じ基準で処理
- 複数室は室ごとの販売可能泊数と予約泊数を合計
- 月途中の開業・休止・工事日は別途記録
分母の定義を記録しなければ、前年同月や他物件との比較はできません。
外部の稼働率データで確認する7項目
- 1. 対象制度:住宅宿泊事業、旅館業、特区民泊のどれを含むか。
- 2. 対象地域:東京都、23区、区単位、駅周辺のどこまでか。
- 3. 対象期間:月、2か月、暦年、年度のどれか。
- 4. 分母:届出住宅数、掲載物件数、販売可能泊数、販売可能室数のどれか。
- 5. 分子:人を宿泊させた日数、予約泊数、販売室数のどれか。
- 6. 休止・新規・削除リスティング、複数室、キャンセルの扱い。
- 7. 出典、発行日、調査主体、更新頻度。
比較できない数字を混ぜない
制度・期間・分母が異なる数値を一つの表へ並べると、エリア差ではなくデータ定義の差を比較することになります。
- ホテルの客室稼働率を住宅宿泊事業の届出住宅へそのまま適用しない。
- 掲載中リスティング数を実際に販売可能だった室数とみなさない。
- 宿泊者数・延べ宿泊者数を予約泊数や稼働率として扱わない。
- 一つの繁忙月を年間平均として表示しない。
- 出典・期間がない地域別パーセンテージを目標値にしない。
稼働率と一緒に見る4つの指標
- Occupancy
- 予約泊数 ÷ 販売可能泊数
- ADR
- 宿泊売上 ÷ 販売泊数
- RevPAR
- 宿泊売上 ÷ 販売可能泊数
- Owner payout
- 売上 − 当月の費用
販売日の埋まり方を確認する指標。
実際に販売した1泊あたりの平均単価。
販売可能な泊数あたりの宿泊売上。
管理費、清掃、固定費、オーナー負担を同じ期間で区分。
稼働率を運営判断へ使う6つの手順
- 1. 予約日ではなく宿泊日基準で、先30日・60日等の予約状況を確認する。
- 2. 曜日、連休、イベント、最低宿泊日数、販売停止日を分ける。
- 3. 稼働率だけを上げる値下げではなく、ADRとRevPARを同時に確認する。
- 4. キャンセル、返金、清掃可能数、チェックイン条件を価格判断に反映する。
- 5. 変更前の価格・最低泊数・理由と、変更後の予約結果を記録する。
- 6. 月次では計算式と対象期間を固定し、同じ物件の推移を比較する。
StayJPが契約後に扱う範囲
全プランで、契約後に予約状況・シーズン・物件条件を参考に価格と最低宿泊日数を調整し、確認可能な運営データを報告します。具体的な項目、頻度、対象売上は契約で定めます。
- 10%から価格・OTA・予約・週次運営報告・月次精算報告を扱う。
- 15%以上はレビューと月次運営報告を追加する。
- 清掃日程・現地確認・緊急現地対応はプランごとの責任範囲を確認する。
- 公開市場データを個別物件の予測や目標として確約しない。
- 売上・稼働率・ADR・RevPAR・利益・検索順位を保証しない。
平均値より、自分の分母を固定する
東京全体の数字を探す前に、自分の物件の販売可能泊数と予約泊数を同じ期間で取り出してください。外部データは需要の背景として使い、物件の結果とは分けます。
- 公式資料は集計項目を確認
- OTAデータは分母とキャンセル処理を確認
- 物件比較は同じ制度・期間・客室単位で実施
- 運営判断は稼働率・ADR・RevPAR・費用を併記
根拠が追える同一物件の推移は、出所不明の地域平均より運営改善に使いやすい情報です。
東京民泊の稼働率に関する質問
東京民泊の平均稼働率は何%ですか?
単一の数字では答えられません。制度、地域、期間、掲載・販売状態、分母が異なるためです。観光庁の宿泊実績は需要動向の一次資料ですが、OTAの販売可能泊数を分母にした稼働率とは別に読みます。
観光庁の『届出住宅あたり宿泊日数』は稼働率ですか?
同じではありません。宿泊日数の集計であり、個別リスティングの販売可能泊数を分母にした割合ではありません。対象期間・報告住宅数・集計定義を確認してください。
年間180日を分母にすればよいですか?
目的によります。180日は住宅宿泊事業法の年間上限ですが、条例、休止、オーナー利用、工事等で実際の販売可能日は変わります。月次運営では当月に実際に販売できた泊数を定義して使います。
稼働率が上がれば利益も増えますか?
必ずしも増えません。値下げ、清掃回数、OTA手数料、返金、固定費で手残りが変わります。ADR、RevPARと費用を同じ期間で確認してください。
StayJPへ委託すると稼働率は上がりますか?
上昇は保証しません。契約後、予約状況・シーズン・物件条件を参考に価格と最低宿泊日数を調整し、契約範囲の運営データを報告します。結果は需要、物件、規制、競争等で変わります。